目次
今回は数学1の集合について何回かにわけてわかりやすく説明していきます。
ここは新しい用語や記号がたくさん出てくるので混乱しやすい分野です。
だから、まずはひとつひとつの言葉と記号をしっかり理解していきましょう。
イメージしながら理解していくのがお勧めです。
その上で練習問題を解いてください。
そうすればいつの間にか友達に教えられるようになってますよ。
細かい用語の定義はわかっているから、すぐに問題の解き方を学びたい人は目次から「問題演習」をクリックしてください。
では、いってみよう🎶
集合のイメージ

あなたが1年A組の生徒だとします。このクラスの生徒数は36名で、1つの班が6名の6つの班があります。
あなたは2班のメンバーだとします。
1年A組の生徒が集まると「1年A組」という「集合」ができます。
そしてクラスのそれぞれの生徒のことを「要素」といいます。
また、あなたはこのクラスのメンバーです。これを数学的に言い表すと”あなたは1年A組という集合に「属する」”と言います。
ここまでで、「集合」「要素」「属する」という3つの用語が出てきました。それぞれイメージできましたか。
そしてあなたは「2班」でした。この「2班」というのも6名の生徒が集まる「集合」になります。
この「2班」は「1年A組」という「集合」のメンバー(要素)で成り立っています。この場合「2班」という集合は「1年A組」という集合のメンバー(要素)からできています。こういうとき「2班」という集合は「1年A組」という集合の「部分集合」と呼びます。
たくさん用語が出てきました。
あと1つだけ覚えてください、それは「補集合」です。
あなたは「2班」でした。このクラスには当然「2班」以外の生徒もいるわけです。
このような「2班」以外の生徒のことを「2班」の補集合といいます。
どうですか、
何となくイメージは湧きましたか。
ここで用語の意味をまとめましょう。
集合とは何なんだ?:集合・要素・部分集合・補集合とかその他諸々
ここから用語の意味を説明しますね。
・集合
教科書を見ると「含まれるものがはっきり定まるものの集まり」と書いてあります。
だから、「体重が軽い人の集まり」とか「可愛いねこの集まり」とかは各個人によって意見が分かれることがありますよね。はっきり定まらないので数学で言うところの「集合」とは言えないわけです。
数学の問題で出題される「1桁の自然数」とか「100から500までの整数」などは含まれるものがはっきりの定まりますよね。
こんな風に「含まれるものがはっきり定まるものの集まり」のことを集合といいます。
・要素
次は要素です。要素とはその集合をつくっている「1つ1つのもの」のことです。
例えば、ある集合Aがあってその要素が「1桁の自然数」であれば、その要素はA={1,2,3,4,5,6,7,8,9}と表すことができます。
この1とか2とかそれぞれが集合Aの要素です。
要素は括弧の記号{ }の中に「,」カンマで区切って書いていきます。カンマは「左」払います。「、」のように右に払うとバツにされることがあるので気をつけましょう。
また、Aは {n | nは1桁の自然数} と要素の代表であるnを書いてから「|」縦線を書いて「nを満たす条件」を書いて示す方法もあります。(読み方について聞かれる場合があります。私は高校時代の数学の先生から縦線|は「ただし」と読むんだよと教わりました。ですから{n | nは1桁の自然数} の場合「n、ただしnはひとけたのしぜんすう」と読むわけですね)
特にこの「条件を書く方法」が分からないという質問が多いので、早めに理解しておきましょう。
具体例:条件を書く方法
A={ n | nは 5 以下の自然数}であれば、A={ 1.2.3.4.5 }
A={ 5n | n=1,2,3}であれば、その要素はそれぞれ 5×1=5,5×2=10,5×3=15と計算できるのでA={ 5,10,15 }になります。
A={ x|-2≦ x≦3を満たす整数}であれば、A={-2,-1,0,1,2,3}になるわけです。
・集合の種類
集合には「有限集合」「無限集合」「空集合」の3種類があります。
「有限集合」とは、「1桁の自然数」みたいに要素が有限(数に限りがある)な集合のことです。上の例にある1年A組も人数が36人なので有限集合ですね。
「無限集合」とは、「正の数全体」みたいに要素が無限(数に限りが無い)な集合のことです。
「空集合」とは、要素が1つも無い集合のことです。記号で「∅」と表します。
読み方は私が学生時代には学校で「ファイ」と習ってました。これはギリシア文字の「φ」のことですが、実は違うそうです。
数学の先生から習っていましたし、いくつかの参考書ではいまだにそのように書いてあるものもありますが……。
生徒に聞いたら、学校の教師はそのまま「空集合」と読むケースが多いようです。
・部分集合
上の教室の例でいくと、全体集合は「1年A組」です。
部分集合「班」になります。「1班」「2班」「3班」……、それぞれが「1年A組」の部分集合になります。
これを数学の記号を使って表してみます。
「1年A組」を集合A、「2班」を集合Bとします。
この場合
$$ A supset B $$
とか
$$ B subset A $$
となります。
読み方は「AはBを含む」や「BはAに含まれる」です。
・補集合
集合では、まず1つの集合Uを決めてそのUの部分集合について考えることが多いんですね。この場合Uを全体集合といいます。Uの中に部分集合Aがあるとします。その部分集合Aに属さない要素全体の集合を、Uに関するAの補集合といい、
$$ overline{A} $$
と表します。
読み方は「Aバー」や「補集合A」です。
この補集合の考えはとても重要なのでしっかり覚えておきましょう。特に数学Aの場合の数・確率で威力を発揮します!
では、実際に問題を解いてみましょう。
問題演習
・集合を表してみよう
問題1:1から10までの集合Aを表せ。
そのまま要素を書き出す方法では、
$$ A={1, 2,3,4,5,6,7,8,9,10 } $$
条件を書き出す方法では、
$$ A={x | x text{は自然数,1≦ x ≦10}} $$
となります。
問題2:次の集合を要素を書き並べて表せ。
(1) 7以下の自然数全体の集合
(2) 3桁の5の倍数全体の集合
(3) { x | -4 < x < 3, xは整数 }
(4) { x | x は10以下の正の奇数 }
(5) { x | x は6の正の約数 }
(6) { n | n=2k, k=1, 2, 3}
(7) {4n-1 | n=1, 2, 3, 4,…… }
(8) { x | x は | x |<0 を満たす整数 }
問題2:答え
(1) { 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7 }
(2) { 100, 105, 110,……, 995 }
(3) {-3, -2, -1, 0, 1, 2 }
(4) { 1, 3, 5, 7, 9 }
(5) {1, 2, 3, 6}
(6) {2, 4, 6}
(7) {3, 7, 11, 15,……}
(8) { ∅ }
問題2:解説
(1) 自然数とは「正の整数」のことでしたね。なので、0は入りません。7以下なので7も含みません。もし7未満なら7は含まないので注意してください。
(2) 5の倍数は1の位の数が「0 か 5」になります。ですから100から995までで1の位が「0 か 5」の数です。この場合のように書き出す要素がたくさんある場合の集合の書き方ですが、答えのように3つ書いて途中は「…」でつないで一番最後の数を1つ書きます。
(3) -4から3までの整数を書くのですが、「<」は下に「=」がついてないので-4と3は含みません。
(4) 10以下の正の奇数なのでそのまま奇数を書きましょう。
(5) 6の約数とは6を割り切ることができる数です。
(6) n=2kの式のkにk=1, 2, 3と順番に代入して計算した値(答え)を書いていきます。2×1=2, 2×2=4, 2×3=6。
(7) 4n-1のnにn=1, 2, 3, 4,…と順に代入して計算した値を書いていきます。この場合(6)と違って無限集合です。問題文にあるように1から4まで順に代入した値を書いたらその後は…と書きましょう。4×1-1=3, 4×2-1=7, 4×3-1=11, 4×4-1=15, …
(8) ||は絶対値の記号ですね。絶対値は原点からの距離を表すので負の数はありません。よってこの場合は、要素がないので答えは空集合「∅」になります。
最後に
どうでしょうか。ここまで理解できて問題も解けましたか?
勉強って要は「慣れ」なんですよね。特に新しい単元に入ると理解しながら記憶していかなければならないので、難しいと感じてしまう訳です。上の問題が自力で解けるようになったら教科書やワークの練習をやって更に慣れてくださいね。
次回2回目は、2つの集合を比べて「共通部分」や「和集合」について説明していきます。特に「補集合」が絡んだ問題や「ド・モルガンの法則」についてもわかりやすく丁寧に説明していきます。
